ヘヴィ・メタル界の最高峰に君臨するメガデス(MEGADETH)が、2027年2月に自らの美学と誇りを懸けた「最後のジャパン・ツアー」を敢行することが発表された。2026年8月31日、招聘元のウドー音楽事務所が公式サイトでツアー詳細を公開。大阪・グランキューブ大阪と東京・日本武道館の2公演が決定している。バンド結成から40年以上にわたる歴史を締めくくる、正真正銘最後のフェアウェル来日公演となる。
関連項目
本ツアーおよびメガデスというバンドを理解するうえで押さえておきたい周辺情報を先にまとめておく。
- スラッシュ・メタル四天王:メタリカ、スレイヤー、アンスラックスとともにメガデスが並び称される、1980年代スラッシュ・メタルを牽引した4バンドの総称。2010年には「THE BIG 4」としてこの4組が一堂に会するイベントも実現している。
- マーティー・フリードマン:1990年から2000年まで在籍した元ギタリスト。『ラスト・イン・ピース』『破滅へのカウントダウン』などバンド屈指の名盤に参加。2023年の日本武道館公演にはスペシャル・ゲストとして登壇し、23年ぶりの共演を果たした。
- キコ・ルーレイロ:2015年から2023年まで在籍したブラジル出身のギタリスト。『ディストピア』以降の作品を支えたが、後任として現在はフィンランド出身のテーム・マントゥサーリが加入している。
- 日本武道館:デイヴ・ムステインが30年間切望し続けた特別な会場。1993年にツアーキャンセルで実現しなかった悲願の公演が、2023年についに実現した経緯がある。
- アイアン・メイデンとの共演:2026年のフェアウェル・ワールドツアーの一部では、結成50周年を迎えたアイアン・メイデンの『Run For Your Lives World Tour 2026』にスペシャル・ゲストとして帯同し、スタジアム級の公演を経験している。
- グラミー賞 最優秀メタル・パフォーマンス:2017年開催の第59回グラミー賞にて、『ディストピア』収録の表題曲で受賞。12回目のノミネートにして初の栄冠だった。
- アルバム『Megadeth』:バンド通算17作目にして最後のスタジオ・アルバムとなるセルフタイトル作。今回のフェアウェル・ワールドツアーの中核をなす作品。
ツアー概要
今回発表された来日公演の日程は以下の通り。
大阪公演 会場:グランキューブ大阪 日程:2027年2月22日 開場18:00/開演19:00
東京公演 会場:日本武道館 日程:2027年2月24日 開場18:00/開演19:00
大阪公演の主催はFM COCOLO/FM802、東京公演の主催はBAYFM78。ともに企画・招聘・制作はウドー音楽事務所、協力はワードレコーズが務める。
チケット料金は両公演共通でS席18,000円、A席17,000円(いずれも税込)。加えて、上位者向けにVIPパッケージも用意されている。VIPフォトパッケージ(108,000円)はS席(1〜10列目確約・座席は抽選)に加え、バンドとのフォトセッション、VIP限定グッズ、VIP限定ラミネートパス、VIP会場物販優先販売がセットになった内容。東京公演にはさらに、S席(10〜20列目確約)にVIP限定グッズなどを組み合わせたVIPグッズパッケージ(50,000円)も設定されている。なお、これらVIPパッケージの販売・取り扱いはウドー音楽事務所ではなく別窓口となっている点は注意したい。
先行予約はウドー・プレミアムメンバーズ(9月1日12:00〜9月6日23:59、先着)、ウドー・メンバーズ(9月3日12:00〜9月18日18:00、先着)の順で実施され、9月19日10:00からはウドー・メンバーズに加え、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、Worldwide Ticket Reservation(海外在住者向け)でも一般販売がスタートする。受付終了は各公演当日19:00まで。
「最後」を掲げる理由 ― デイヴ・ムステインの決断
メガデスは2026年、バンド史に刻まれる大きな決断を下している。中心人物であるデイヴ・ムステイン(ヴォーカル/ギター)が「トップにいるうちに、自らの条件で幕を引く」という方針を明らかにし、通算17作目にして最後のスタジオ・アルバムとなるセルフタイトル作『Megadeth』を発表した。今回のジャパン・ツアーは、このアルバムを携えて世界中を回っている「フェアウェル・ワールドツアー」の一環にあたる。
現在のメンバーは、復帰を果たしたジェイムズ・ロメンゾ(ベース)、超人的な精度のドラミングで知られるダーク・ヴェルビューレン(ドラムス)、そしてキコ・ルーレイロの後任として加入したフィンランド出身の新鋭ギタリスト、テーム・マントゥサーリという布陣。『Megadeth』にはスラッシュサウンドを前面に押し出した楽曲群に加え、デイヴ自身がメタリカ在籍時に共作した楽曲を再構築した「Ride The Lightning」も収録されており、自らのルーツへの敬意を示す内容になっている。
デビューから現在まで ― 来日史とともに振り返るバンドの歩み
メガデスの物語は、デイヴ・ムステインがメタリカを解雇されたことから始まる。1983年、他のメンバーとの確執を理由にニューヨークでバンドを追われたデイヴは、「見返してやる」という思いから新バンド・メガデスを結成した。1985年、デヴィッド・エレフソン(ベース)、クリス・ポーランド(ギター)、ガル・サミュエルソン(ドラムス)というラインナップでデビュー・アルバム『キリング・イズ・マイ・ビジネス』をリリース。攻撃的なサウンドでスラッシュ・メタルというジャンルの輪郭を決定づけた一枚となった。
1986年の2ndアルバム『ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング?』は、鋭利なリフとビートで世界を震撼させた代表作。表題曲は今もライブの定番曲として演奏され続けている。初来日はこの翌年、1987年4月に実現している。1988年の3rdアルバム『ソー・ファー・ソー・グッド…ソー・ホワット?』に伴い、同年7月には2度目の来日公演も行われた。この頃、メガデスは同時期にデビューしたメタリカ、スレイヤー、アンスラックスとともに「スラッシュ・メタル四天王」と称されるようになる。
1990年、マーティー・フリードマン(ギター)とニック・メンツァ(ドラムス)を新たに迎えた「史上最強」とも評される布陣で4thアルバム『ラスト・イン・ピース』を発表。1991年2月には来日公演も実施された。1992年の5thアルバム『破滅へのカウントダウン』は全米アルバムチャート初登場2位を記録し、バンド最大のヒット作となる。ただし、このアルバムに伴って予定されていた日本武道館公演を含む来日公演は、デイヴの健康問題により中止となっている。この中止が、後年「悲願の武道館公演」として語られる伏線になった。
1994年の『ユースアネイジア』を経て、1997年の『クリプティック・ライティングス』リリース後には5度目の来日を果たす。しかしこの時期、ニック・メンツァが脱退。1999年の『リスク』を経て2000年にはマーティー・フリードマンも脱退し、バンドは大きな転換点を迎える。2001年『ワールド・ニーズ・ア・ヒーロー』では9度目のジャパン・ツアーが実現したが、直後にデイヴ自身が上腕骨の神経障害を理由に脱退を表明し、メガデスは事実上の解散状態に陥った。
2004年、デイヴは新メンバーを迎えて『ザ・システム・ハズ・フェイルド』で復活。この作品と10度目の来日公演は日本でも熱狂的に迎えられた。以降、2007年『ユナイテッド・アボミネイションズ』、2009年『エンドゲーム』とコンスタントに作品を発表し、同年のメタル・フェスティバル「LOUD PARK」ではスレイヤーとともにヘッドライナーを務めている。2010年には四天王が集結する伝説的公演「THE BIG 4」も開催された。
2015年、ブラジル出身のキコ・ルーレイロが加入し、2016年リリースの『ディストピア』で新体制がスタート。表題曲は2017年のグラミー賞で最優秀メタル・パフォーマンスを受賞し、バンドは名実ともにヘヴィ・メタルの頂点に立った。しかしその直後、デイヴは新型コロナウイルスによるロックダウンと自身の喉頭癌との闘いに直面する。病を克服したデイヴは2022年9月、16作目のアルバム『ザ・シック、ザ・ダイイング…アンド・ザ・デッド!』をリリースし、2023年2月、6年ぶりとなる来日公演を敢行。この東京公演の会場こそ、1993年のキャンセル以来デイヴが30年間切望し続けた日本武道館だった。この夜にはマーティー・フリードマンがスペシャル・ゲストとして登場し、23年ぶりの共演にファンは熱狂した。
そして今回、2026年発表のセルフタイトル・アルバム『Megadeth』を引っ提げて、バンドは「最後」を掲げたジャパン・ツアーに臨む。奇しくも会場は、2023年に悲願を果たしたのと同じ日本武道館。デビューから40年以上にわたって幾度も日本のファンを熱狂させてきたバンドの歴史が、この場所で一つの区切りを迎えることになる。
まとめ
メガデスの2027年来日公演は、単なる新譜プロモーションのツアーではなく、デイヴ・ムステイン自身が「トップにいるうちに幕を引く」と明言した、バンド史における正真正銘の集大成にあたる。1987年の初来日から数えて通算11度目(本記事執筆時点の来日歴に基づく概算であり、正式な回数は公式発表を要確認)となる来日は、大阪・グランキューブ大阪と東京・日本武道館の2公演。先行予約は2026年9月1日から順次スタートし、一般販売は9月19日10:00から開始される。40年以上にわたって「インテレクチュアル・スラッシュメタル」を貫いてきたバンドの、正真正銘最後の雄姿を目に焼き付ける機会は、そう多くは残されていない。

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